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北欧デザインは、なぜ美しいのか。 - 堀 紋子 | 北欧ジャーナリスト&コーディネーター -

北欧デザインは、
なぜ美しいのか。

「天気が悪いのではない、着ている服が悪いのだ」という北欧のことわざが表すように、 自然を第一に考え、その上で人間主義の思想が成立している北欧。冬は長く寒く、 日照時間が極端に短い北欧では、室内で過ごす時間が必然的に増えるため、 飽きのこないシンプルで丈夫な家具が定着していったのです。 北欧の人々の自然への敬意はインテリアや建築にも多く見られます。 ファブリックに草花や動物が多く描かれているのもそのひとつ。 大きな窓は外光を最大限に取り込むためであり、 また向いの白い建物を利用して光を反射させ部屋を明るくする設計も 見受けられます。日常生活でもキャンドルを灯すのは、 室内を温め明かりをもたらす効果があるからで、 窓辺にガラス製品を飾るのは、外光をガラスに反射させ家の中により多く取り入れるための生活の知恵です。 このように北欧で生まれる形の多くがその用途にしっかりと応え、 意味を持って存在しています。

また、北欧のものづくりに携わる多くの人が考える「デザイン」とは、 機能性、耐久性、使い心地、美しさ、素材選び、さらに生産性や流通、 適正価格、果ては作り手、売り手労働環境に至るまでも含みます。 様々な要素から完成された「形」と生み出すまでの「仕組み」を 「デザイン」と呼ぶとき、そこには最後、使い手の責任も少なからず存在します。 北欧の使い手たちは、“もの”を厳選し、一生をかけて大切に使い、 次の世代へ引き継ぎます。思い出や足跡が刻まれ、より温かみを増した“もの”は、 日々の暮らしを一層優しく包むのです。本質ある“もの”を使い手自らが育てていくことは、 それこそが感性を豊かにし、美意識を育み、個性となって北欧の豊かな暮らしに繋がっていくのです。

堀 紋子 北欧ジャーナリスト&コーディネーター

10代でスウェーデンに渡りガラスのテクニックとデザインを習得後、 ストックホルムで活躍するガラス作家に師事。帰国後、 創作活動の傍ら北欧の⽂化イベントを企画開催。 その後北欧情報誌の現地コーディネートやプランニングに携わる。 現在は北欧の暮らしの提案から北欧企業のビジネスサポートまで、 多岐に北欧と関わっている。


フィンランド
フィンランド

気候と時代が生んだフィンランドのデザイン。

1928年、アアルトはフィンランドのパイミオ市にある結核療養所の建築設計とともに、 そこで使用される家具のデザインに着手。当初スチール製のものを検討しましたが、 今ほど暖房設備の整っていなかった時代にスチール家具は冷たく、 厳しい冬が半年以上続くフィンランドには適さないと考えました。 そこで曲げ木の実験を繰り返す中で開発した「ラメラ曲げ木」の技法をもとに、 自国に多く生息するバーチ材を使い41アームチェア パイミオを開発。 この製法はのちに様々な製品に応用されています。 また1933年、無垢材の上部切り込みに板を挟み合わせたものに熱を加えて 90度に曲げるL-legという全く新しい曲げ木の技法を確立させ、家具の規格化を確率させました。 アアルトは自国の素材を使うことで戦前戦後の厳しい時代にフィンランドに雇用を生み出し、 家具を規格化することで生産効率に伴う手頃な価格を実現し、 また運送方法に至る全てにおいて意味を持たせました。

Artek アルテック
Artek アルテック

アルテックは1935年にフィンランドの建築家アルヴァ・アアルトを始めとする4人の若者によって誕生しました。
一般の人々により良い暮らしを広めるため、そして家具販売のみならず、展示会や啓蒙活動を通してモダニズム文化を促進することが目的でした。

お問い合わせ
Artek 03-6447-4981
STOOL 60

STOOL 60

数年の月日をかけ完成したL-legは、スツール60に初めて採用され、 その後様々なサイズが椅子やテーブル、ベンチなどに汎用。 1935年のアルテック創業に繋がる重要な商品。

A338 “BILBERRY”

A338
“BILBERRY”

1950年、美術商ルイ・カレ邸のためにアルヴァ・アアルトがデザイン。 芸術作品のスポットライトとして考案され、消灯時でも美しさが保たれるよう考えられている。

41 ARMCHAIR “PAIMIO”

41 ARMCHAIR
“PAIMIO”

しなやかで有機的なカーブを描くループの輪を成型した脚が特徴。 結核患者が腰掛けた際に、呼吸がしやすいよう、 アームに肘をかけたときに心地良いよう設計。


デンマーク
デンマーク

数々の名作を輩出したデンマークデザインの礎。

家具というと高級な注文家具か低価格で粗悪なものしかない時代、 FDBは自社で製造から販売に至る工程をすべて担う家具部門FDBモブラーを発足、 初代企画デザイン担当責任者にボーエ・モーエンセンを抜擢しました。 職人たちの古い考え方を払拭させ、当時珍しかったデザイナーと 職人が共にものづくりを行う仕組みを構築、あらゆるものを実寸し そのものに合わせ規格化した製品の開発を行いました。 さらに家具専門店を各地に立ち上げ、そこで働く店員の教育機関を開校。 また同協会のメディア部門を通じてFDBモブラーの商品を使った“素敵な暮らし”を国民に訴求しました。 この思想は一時FDBモブラーのメンバーでもあった若き日のウェグナーや ヤコブセンなどにも受け継がれ、今日私たちが目にするデンマークデザインが 誕生しました。FDBモブラーは作り手・売り手・買い手ともに高い感性と 美意識を持つ国民と社会を作り上げていったのです。

FDB MØBLER FDBモブラー
FDB MØBLER FDBモブラー

FDBは一般の人たちの日常生活に寄与することを目的に、1866年にその前身がスタートしたデンマーク生活協同組合連合会。
1942年にインテリア事業の角度から、消費者の生活レベル向上を目指し家具部門FDBモブラーが誕生しました。

お問い合わせ
greeniche代官山 03-6416-5650
J46

J46

1956年発表のポール・M・ヴォルタによるJ46は、今でもデンマーク国内史上最高の 販売数を保持し、国民の5人に1人が購入したと算出されている。

J52B

J52B

ウィンザーチェアから着想を得てボーエ・モーエンセンがデザイン。 構造の簡素化と製造工程における雇用促進の仕組みを確立させた デンマークデザイン史に残る名作。

Book Case Book Case

Book Case

設計する上で機能主義を原則としたモーエンス・コッホが1944年に考案。 モジュールを用いたシンプルな構造で、継ぎ目には刻み組みを採用し強度と 美しさのある棚を実現。


スウェーデン
スウェーデン

人に寄り添い考え抜かれたデザインはタイムレスになる。

1949年、出版社Bonnierは本棚のコンペティションを実施、応募者は世界中から194組集まりました。 ニルス・ストリニングは当時同社が行なっていたワゴン車での書籍販売に最適な薄型梱包を 一早く採用し、運送効率の向上と運送費の削減に繋がるシェルフを考案。 さらにシンプルかつ軽量で、組み立てが簡単、棚の移動も容易で、上下左右にパーツを 連結し壁に合わせて配置でき、見た目の美しさにもこだわりました。 このような数々の優れた点から最優秀賞を受賞し、同年ストリングが誕生しました。 現在はカラー展開も豊富で、インテリアや好みに合わせたコーディネートも可能に。 これらの哲学はそのままに、近年ストリングは電動の昇降式デスクを発売。 座りっぱなしは第二の喫煙と言われており、昇降式デスクを使用することで 生産性の向上、欠勤の減少、医療費の削減を通じて便益が得られるとの研究結果も。 昇降式デスクは社会システムをも考慮した形であると言えます。

String® ストリング
String® ストリング

ストリングは建築家ニルス・ストリニングによって1949年にデザインされたスウェーデンのモジュール式収納ブランド。
アイコンでもある階段状のサイドパネルがシェルフ類を支える仕組みにより、あらゆる用途や要望に応じて自由な組み合わせが可能です。

お問い合わせ
ストリング ファニチャー info-jp@string.se
string® pocket

string®
pocket

サイドパネル2枚と棚3枚セット。小ぶりなサイズと豊富なカラー・素材展開、 手頃な価格が特徴。定番商品ストリング システムの仕組みはそのまま。

string® works昇降式デスク

string® works昇降式デスク

オフィスだけでなくダイニングテーブル、ホームオフィスのデスクとしても。 オプションアイテムによってカスタマイズができ各々の用途に応じで使用可能。

string® system

string® system

規格化されたサイドパネル3色と棚類6色・素材から自由に組み合わせ出来る。 昨年メタルシェルフも加わり、その用途は大きく広がった。

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